年月日 平成20年07月12日(土) 天候 曇り時々晴れ 場所 長野県松本市 ルート 畳平→(30分)→肩の小屋→(60分)→剣が峰→(50分)→肩の小屋→(20分)→畳平 歩行距離(4.0キロ)、所要時間3時間00分(休憩時間含む) その他 前回の乗鞍岳の時も、事後反省をしたのだが、日帰りで乗鞍に登るのは止そうと。標高差の少ない高山だから日帰りは不可能では無いのだが、タイミングが悪いと時間的余裕が無いため、雨中や霧中の登山になってしまう。やはり遠方まで足を延ばしたからには剣が峰からの360度の大パノラマを満喫してみたい。乗鞍2回目の今回も濃霧に祟られ眺望はゼロ。次回こそは泊りがけで、いやせめて夜行日帰りででも訪れてみることにしよう。
梅雨が明けた地方もあるというのに、関東地方はまだ何となく愚図付いているようだ。今日は久し振りに3000m峰「乗鞍岳」(のりくらだけ)を登ってみようと思うが、丁度2年前の梅雨の末期にこの山を登って散々な目にあったことを思い出す。そう大雨の中の強行軍だったことを。果たして今日の天気は如何なものだろうか。
ツアーバスは33人の参加者を乗せて7時15分に新宿を出発する。雲は多いものの明るい日差しが雲間から差しかなり蒸し暑い。ところで、岐阜県高山市と長野県松本市の県境にある乗鞍岳までの行程はかなり長いのが玉に瑕だ。バスは中央自動車道境川PAでトイレ休憩を取った後、岡谷JCTで長野自動車道に入り、松本ICでそれを降りると、国道158号線を乗鞍方面へと向かう。現地着はどう考えても午後の予定となるため、国道158号線沿いの道の駅「風穴の里」で登山前の昼食を取る。更にそこから曲がりくねった乗鞍エコーラインを走ること約1時間半。やっとのことでスタート地点の畳平(2700m)に午後1時に到着する。
到着後、トイレを済ませ、慌しく身支度を整えると、ストレッチもそこそこに剣が峰目指してスタートを切る。時間が無いのだ。ところが、やはりここは3000m峰であり、あっという間に天候が急変する。絶え間なく霧が立ち込めなかなか乗鞍岳の全容を見ることができない。
この乗鞍岳は、飛騨山脈(北アルプス)の南部にあって剣ヶ峰(3026m)を主峰とする山々の総称である。剣ヶ峰の他に、朝日岳、摩利支天岳、富士見岳、屏風岳など23の山があって、日本百名山の一つにも数えられている。また、その姿が馬の鞍に似ていることから「乗鞍」と呼ばれるようになったという。
まずは足慣らし程度に中腹の山小屋「肩の小屋」へと向かう。この行程は、登山道と言うより遊歩道と言った方が良い位の広く緩やかな山道であり、ほぼ30分程度で小屋へ着く。しかし、こことて絶え間なく流れ込む霧に覆われかなり寒い。ここで一旦雨具や長袖の上着を着るなどして改めて身支度を整える。
さあ、ここからが乗鞍登山の本番となる。肩の小屋から剣が峰までの標高差は僅か250m程度だが、足元の安定しないガレ場の急登が続く。空気の薄い標高3000mのほぼ直登気味の登山道は、心臓に疾患を持つ上にヘビースモーカーの私には事のほか辛い。事前に「救心」を飲み、携帯酸素を吸いながらの登山となったが、僅か登っては休み、僅か登っては休みの連続だ。おまけに朝日岳付近には大きな雪渓が残っており、ここを踏破するのも一苦労である。
急登と雪渓をどうにかクリアし、一旦平坦な馬の背へ出る。この馬の背は風の通り道となっていて霧が音を立てて流れていく。目の前には剣が峰が霧の中に見え隠れしているが、ここから再び最後の急登が始まる。最後の力を振り絞り、激しい息づかいで頂上小屋に着く。ここで終わりかと思いきや、更にそこから三点支持で岩場を登りきればやっとのことで山頂である。
山頂に立っても、見えるのは乳白色の霧の世界だけで、疲れを癒す360度の大パノラマなど何処にも見ることができない。だからといって、自然の所作に腹を立てても仕方がないのであって、次回を期待して僅か1分だけの滞在で踵を返し下山に転じることにする。
下山ではあの雪渓で再び苦労したが、後は大きな問題もなく淡々と下る。肩の小屋で一旦休憩をし、畳平目指して再び下山を開始する。帰りのバスの時間までまだ余裕があるので、高山植物に目をやりながらのんびり下山していると、生まれて始めての光景を目にした。雷鳥と遭遇したのだ。慌ててレンズを向けたのは言うまでもない。メスの雷鳥のようだが、彼女は余り慌てる様子もなく、ガレ場をのんびり歩き回っている。しかし、その余り人を恐れない性格が故に、絶滅危惧種になっている現実があるのは余りに悲しいことだ。
今日のツアーは温泉入浴が付いていないため、午後4時15分東京に向けてバスは直行する。東京着は午後9時。登山時間は僅か3時間程度だが、実に10時間余りはバスに揺られていた計算になる。北アルプス方面の日帰りバスツアーはやはり時間的に厳しい。せめて夜行日帰りならもう少し条件の良い乗鞍岳が楽しめたものと思うのだが。