年月日 平成20年03月29日(土) 天候 晴れ 場所 埼玉県秩父市荒川日野、秩父郡長瀞町 ルート お花畑駅⇒⇒武州日野駅⇒⇒樋口駅⇒⇒お花畑駅 歩行距離(僅か)、所要時間3時間00分(休憩時間含む) その他 春の山野草を語るとき忘れてはならない花、それはカタクリです。秩父鉄道武州日野駅と樋口駅から二つの群生地を訪ねてみました。満開の桜の便りが届く今日この頃、カタクリもその薄紫の妖艶な花を我が世の春とばかりに精一杯広げていました。雪がまだ融け残る早春、林の中の日向や残雪の淵にいち早く咲き、まわりの植物が葉を茂らせる前に消えていくスプリングエフェメラルと呼ばれる植物の代表格であるカタクリ。今週、来週辺りがピークで、その後また静かな眠りに入っていくことでしょう。
詳細地図はこちらから(奥秩父荒川観光協会提供)
詳細地図はこちらから(長瀞カタクリの郷提供)
極寒の冬から一気に春爛漫の陽気になってきた。余りの暖かさに春の山野草の開花が進み過ぎ、既に枯れ始めてはいまいか些か心配であるが、毎年恒例であるカタクリの花を愛でる山歩きに今年も出かけてみることにした。
西武秩父駅から歩いて3分の秩父鉄道御花畑駅で、お気に入りの立ち食い蕎麦で腹ごしらえをした後、三峰口行きの電車に乗り込む。天気は時折強烈な太陽が照り付ける良い天気で、フリース1枚でも十分な暖かさだ。ハクモクレンや桜など車窓を流れる秩父の春の装いをのんびり眺めていると、目的の武州日野駅にはものの15分ほどで到着する。その武州日野駅の裏山がカタクリの群生地となっている。
早速裏山に踏み入り、目を凝らして見るが、去年と同じで花の付きが余り芳しくない。というよりまだ3〜4分咲きの花が多いようだ。そんな時、偶然出会った地元のご婦人から、山頂の方は満開と言う情報を得、早速弟富士山(おとふじやま)を登ってみることにした。 登るといっても弟富士山は標高僅か385m。標高差にしてほんの100m登れば良いだけだ。
なるほどそのご婦人の言葉通り、山頂に近づくにつれて満開の花が多くなってくる。斜面にはびっしりとあの薄紫の妖艶なカタクリが咲き誇っている。私と同様カタクリを撮影に来た男性2名と、それからは狭い登山道を先になり後になりしながら、ほぼ1時間カタクリとの1年ぶりの逢瀬を楽しんだ。
雪がまだ融け残る早春、林の中の日向や残雪の淵にいち早く咲き、まわりの植物が葉を茂らせる前に消えていくスプリングエフェメラルと呼ばれる植物の代表格であるカタクリ。林床に生きる植物の多くは耐陰性があるが、スプリングエフェメラルと呼ばれる植物にはそれが無い。だから、春の間だけ地上に現れ周りの植物が陰を落とす頃には地中での長い生活に入るのだ。
十分に逢瀬を楽しんだものの時間はまだ10時だ。帰るには余りに早すぎるので、去年と同様長瀞のカタクリの群生地にも足を延ばしてみることにする。武州日野駅から再び秩父鉄道に乗り込み45分かけて樋口駅に向かう。樋口駅から10分ほど歩くと、秋の七草の尾花(ススキ)で有名な道光寺があり、その目の前に長瀞カタクリの郷がある。入口で入場料380円を支払って山中に入ると、見頃を迎えたカタクリの群生が賑やかに出迎えてくれる。先程の武州日野駅より標高にして200m低く北東へ20キロ移動したこの土地だが、それだけで奥秩父の弟富士とは花の付きが全く違う。正に今日明日が花のピークかと思われるカタクリの花の大饗宴である。
カタクリはユリ科の球根性多年草で、日本各地に自生するが近年は著しく減少している。その名が示す通り、昔は片栗粉の原料だったが、やはり近年は生産量が少なく、ジャガイモのデンプンを片栗粉と称して使用している。カタクリの特性として、種が落ちてから開花までに7〜8年を必要とし、移植はほとんど困難である。花の開花は、その年の気候によって左右されるが、曇った寒い日や雨の日には開花しない。また多少曇っていても暖かい日なら花開くという、何ともデリケートな花なのである。
ここでも1時間程度カタクリの花との逢瀬を楽しんだ。チョッと気難しいが妖艶で男心をそそるカタクリの花。男心をもてあそんでおきながら、いつの間にか静かにその場を去っていく。現実の女性にその姿をダブらせながら、ここにも数多くの男性カメラマンが逢瀬を楽しんでいた。私の第二の人生にもそんな女性が現れんことを期待して、名残惜しいが来年の逢瀬を約束してそろそろ帰路に付くことにした。
帰りは樋口駅から御花畑駅まで戻り、秩父に出かけた時は必ず立ち寄る西武秩父駅前のラーメン屋で昼飯代わりにチューハイを2杯ほど引っ掛け、ほろ酔い加減でちちぶ30号の車中の人となった私だった。