二十四節気の小雪も過ぎ、陽射しは弱まり、冷え込みが厳しくなる季節となってきた。高山は雪化粧を施しすっかり冬山の佇まいに変化している。山岳ツアーも登攀可能エリアが徐々に狭まり催行数も少なくなってきた。そんな中で辛うじて見つけた飯盛山(めしもりやま)(1643m)登山。何んと丁度6年前の2001年11月23日に「歩きま専科」001で登った記念すべき山だ。当時は知人の勧めで山を始めたばかりで右も左も分からず、知人の後を喘ぎ喘ぎ登った記憶と八ヶ岳の荒々しい稜線とそこから延びる清里、野辺山方面への広大な裾野が記憶に残っている。
バスは新宿西口明治安田生命ビル前を午前8時半に出発する。ところが、今回は埼玉新都心、池袋からの参加者と合同催行となったため、総勢49名と言う超満員の出立である。連休中日の中央高速はそれなりに混んでいたが、談合坂SAでトイレ休憩を取っただけで、須玉ICを降りると国道141号線を一路清里方面に向かい、左程の遅れも無く登山口のある平沢に到着する。
天気は雲一つ無い抜けるような青空で、気温も思ったほど寒くない。準備運動を行いジャケットを脱いで午前11時20分にスタートを切る。最初は緩やかな登山道が30分ほど続くが、それでも何時ものように大量の汗が滴り落ちてくる。前回の登山で極度の発汗から来る体調不良で皆さんに迷惑を掛けた苦い思いが蘇る。激しい息遣いで鞍部の広場に到着すると、前回の二の舞を避けるべく、大量のスポーツ飲料を飲んで塩分の補給をする。概して添乗員はペース配分が早くなりがちだ。帰りの時間を念頭に置いた仕事上の歩きになるため、仕方が無い部分もあるのだが、願わくばこんな時こそ15分に1回程度休みを入れてくれると有り難い。
広場から山頂までは見通しの良い尾根道となる。背後には憧れの八ヶ岳がその雄姿を青空を背景にくっきりと見せてくれている。この八ヶ岳は長野県の諏訪地域と佐久地域および山梨県北部にまたがる南北30km余りの大火山群で、天狗岳・硫黄岳・横岳・阿弥陀岳・権現岳などからなり、最高峰は赤岳の標高2899mで日本百名山の一つである。何時の日にかこの八ヶ岳を踏破したいと何時も思っているが、体力の衰えを最近実感するにつれ実現が何とも危ぶまれる(笑)。
尾根道は案外急峻であるが、何時もと異なり今回のツアーは自分のペースで登って良しとされているので、お言葉に甘えて私は最後尾辺りから一歩一歩ゆっくりと山頂を目指す。30分ほど大汗を流すと、飯盛山直下の広場に着く。ここで30分ほど休憩となるが、私は山頂で弁当を広げるべく更に頂上を目指す。山頂はそこから僅か10分位だ。飯盛山は美しい円錐型をした禿山で360度の大パノラマを堪能できることで有名だ。名前の由来は文字通り頂上付近が茶碗にご飯を盛り上げたような形をしているかららしい。
ところが、山頂は風も強く極端に寒い。満を持して弁当を広げるが、風を遮る何も無いため兎に角飛ばされぬよう慌てて手当たり次第口に放り込む。廻りは遮るものも全く無い360度の大パノラマが広がっている。しかし、案の定午後からの登山に霞がかかるのは仕方の無いことであって、眼前の八ヶ岳はくっきりと姿を見せてくれているものの、南アルプスの主峰北岳、甲斐駒ヶ岳は辛うじてシルエットでそれと分かる程度だし、富士山は消え入りそうにうっすらと見える程度である。
短時間の休憩であったが、強風による体温の低下が著しいため、食事や写真撮影もそこそこに、予定より早く下山することになった。帰りはしし岩登山口方面へ降りる。霜柱が融けややぬかるんでいるものの、急斜面では無いので下山に特に支障はない。眼前に広がる八ヶ岳の雄姿を目にしながら歩くと、山頂からほぼ40分程であっけなくしし岩登山口に着いてしまったのだった。
今回のツアーは温泉入浴は付いていない。まだ午後2時と言うのにもう帰る時間だ。添乗員はどうしても帰りの渋滞が気になるらしく、冗談交じりにオプションで温泉付けたらどう?と進言したものの一笑に付されてしまった(笑)。