年月日 平成19年8月08日(土) 天候 晴れ 場所 栃木県那須町 ルート 那須山麓駅→(4分)→山頂駅→(50分)→茶臼岳→(35分)→峰の茶屋跡→(35分)→県営駐車場 歩行距離(片道不明`)、所要時間2時間00分(休憩時間含まず) その他 台風一過の晴天に恵まれましたが、台風による大雨で山が水を含みすぎていて危険とのガイドさんの判断で、茶臼岳を登り、峰の茶屋跡を経由して県営駐車場に下山するという短いコースに変更されました。5年ぶりに登った茶臼岳ですが、火山特有のザレ場、ガレ場には相変わらず苦しめられました。また、周辺の山々はぶ厚いガスに覆われ、眺望も芳しくありませんでした。ただ、峰の茶屋跡付近のエゾリンドウの群生は、周辺の殺伐とした火山の風景に比して、優しく癒される風景でした。
灼熱地獄の夏が終わり、侘び住まいにもようやく虫の声が飛び込み始めた。引越しの後片付けに忙殺された8月であったが、どうにか人が住める位には落ち着いた。仕事の忙しさもピークに近づいて、土日出勤の状況がこうも続いたのでは、なかなか山登りどころではないし、おまけに、昔山登りで痛めた左膝の関節の状態が最近芳しくなく、とんとご無沙汰の山登りとなっている。しかし、仕事の犠牲になるのは潔しとしない性格の私であるので、忙しさの合間を縫って今日は久しぶりにツアー登山に参加してみることにする。場所は栃木県那須岳。那須岳は日光国立公園内、栃木県那須町にある複数の火山の総称で、最高峰で現在も蒸気と火山ガスを盛んに噴出しているハゲ山の茶臼岳(1915m)、切り立った岩壁上の朝日岳(1896m)、緑に包まれた三本槍岳(1917m)等のことを言う。
台風一過の今日はフェーン現象で関東は猛暑日の予報が出ている。それを裏付けるかのように強烈な朝日の射す上野駅前を31人の参加者を乗せて7時半にバスは出発する。台風で中止になった前日のツアーの振り替え組も乗車してきたためかなり窮屈だ。バスは東北自動車道をひた走り、上河内SAでトイレタイムを取ると那須ICを降り、10時半には那須ロープウェイ山麓駅に着く。定員111名のロープウェイに乗り込み山頂駅に到着すると、ストレッチ体操をやっていざスタートを切る。
ところで、説明を加えておいた方が賢明だと思われるので一言書き加えておくが、往路の車中で主催者側と一悶着があったのだ。上河内SAを出た頃、ガイドさんから、今回の台風による大雨で山が相当に水分を吸収し、いわゆる「山が膿(う)んだ」状況になっているため、沼ッ原湿原への行程を断念し、急遽コース変更をするということになったのだ。これには、沼ッ原湿原行きを熱望していた一部の参加者からブーイングが起き、一瞬車中が険悪な空気に包まれたのだった。私も沼ッ原湿原を訪れたくはあったが、鉄砲水の脅威と主催者側の安全第一の思いを考えれば致し方のないことであろうと諦めた。ということで、今回はタイトル通りのコースではなく、登る予定の無かった茶臼岳を登り、峰の茶屋跡を経由し県営駐車場まで戻るというかなり短距離の登山になってしまった。
まずはロープウェイ山頂駅から茶臼岳山頂を目指す。ここは5年前に登ったことのある山であり、標高差は300m程度であるが、活火山の為、急勾配のザレ場やガレ場が多くて当時初心者の私はかなり難儀した思い出がある。山歩きに慣れた今では、多少きつく歩き辛くはあるが大して苦にはならなかった。ところが、ここでもまた一悶着が発生した。自分の脚力に合わせて沼ッ原湿原歩きを希望していた方々が、急遽急勾配の茶臼岳登りに変更になったため、体力的に追い付けず極端にグループから遅れ始めたのだ。その度に添乗員2名が右往左往し何とも慌しいスタートとなってしまった。
スローペースで登ること50分、山頂には11時50分に到着する。周辺はすっかりガスに覆い尽くされ朝日岳、三本槍岳などの勇壮な山並みは見ることができない。ここでガイドさんの合図により昼食となる。足元は巨石だらけで極端に足場が悪く、転げ落ちそうで座る場所や弁当・ザックを置く場所にもかなり難儀する。ガスって眺望は開けないが朝日岳の見える方向に陣取って弁当を広げる。時折ガスが切れて朝日岳が姿を現す度に、片手におにぎり片手にカメラと些か慌しい昼食となったのだった。
不安定な姿勢でどうにか昼食を終えると、ガイドさんから出発の合図があり、茶臼岳をトラバースするが如く「お釜周回下山道」を下ることになる。下山道は巨石がゴロゴロしていて実に歩き辛い。調子の悪い左膝には試練の下りとなる。尾根道の左側は切れ落ちた断崖となっていて所々から水蒸気が上がっており、吸い込まれそうな恐怖感に苛まれる。ここがいわゆる「お釜」であり、転がり落ちたら一溜まりも無いだろう。しかし、登山道脇にはエゾリンドウの群生が咲き乱れ、暫し足を留めてカメラを向ける。どうして山野草とは人の心にこうも優しいのだろうか。
次のポイント峰の茶屋跡で小休止となる。天気は回復し相当に暑いが、まだまだ山々を覆うガスはなかなか取れず全容は望めない。ところで、現在噴気活動している茶臼岳は3万年前から活動しているが、この山は流動性の少ない安山岩のみを噴出しているため、山頂がこんもりと盛り上がっているのが周辺の山々と比べて特徴的である。
さあ、ここからは最後の下りとなる。左手には朝日岳が急峻な山容を見せている。勾配は比較的緩やかだが、相変わらずのザレ場、ガレ場の連続で足の疲労がピークに差し掛かっている。それでも何とか膝を騙し騙し下り、午後2時半にどうにか峠の茶屋跡の県営駐車場に無事下山できたのだった。
慌しくバスに乗り込むと待望の温泉へ向かう。今日の温泉は「板室温泉」。県営駐車場からかなり距離があり、出発してから1時間後の15時半にやっと到着する。温泉の食堂のビールや料理は午後4時がラストオーダーらしいので、蚤の行水の如く慌しく10分で汗を流し終わると、何よりも冷た〜い中ジョッキで心行くまで喉の渇きを癒し帰路に付いたのだった。