年月日 2007/03/24(土) 天候 薄曇り 場所 埼玉県秩父市荒川日野、秩父郡長瀞町 ルート お花畑駅⇒⇒武州日野駅⇒⇒樋口駅⇒⇒お花畑駅 歩行距離(不明`)、所要時間3時間00分(休憩時間含む) その他 春の山野草を語るとき忘れてはならない花、それはカタクリです。暖冬の影響で既に満開を迎えていると思って出かけた秩父市荒川日野の「弟富士カタクリ園」。ところが寒の戻りの影響でまだまだ固い蕾の状況でした。気を取り直して長瀞町の「長瀞カタクリの郷」に足を延ばしたところ、まだまだ満開には程遠いですが、それでも随所で大輪の妖艶な花を付けていました。来週末辺りからが本格的なカタクリのシーズンになりそうです。
詳細地図はこちらから(奥秩父荒川観光協会提供)
詳細地図はこちらから(長瀞カタクリの郷提供)
春の山野草を語るときに忘れてはならない花がある。比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生し、早春に下を向いた薄紫から桃色の花を咲かせる「カタクリ」の花である。先日の山歩きで「節分草」が全滅しているのを目の当たりにし、カタクリにも少なからず暖冬の影響があることが予想に難くないが、最近の寒の戻りが開花にどのように影響しているのか皆目検討が付かない。しかし、心配していても始まらないので、時期を失しない内に急ぎ秩父の地へ出かけてみることにした。
出発は例の如く西武池袋線池袋駅から特急ちちぶ号で出かける。そのちちぶ号が全面禁煙になってから久しく、1時間半程度禁断症状に苛まれるのが何とも辛いが、現地にいち早く到着するのでやはり特急は捨て難い。それにしても高額納税者の喫煙者が何ゆえこのような仕打ちを受けなくてはならないのか今だもって私は理解に苦しむ。1箱300円のタバコの場合、その63%の190円は税金で取られていて、ガソリンの44%、ビールの43%に比べてもその税負担率は相当に大きい。その税収により喫煙者のための政策を考える政治家は居ないものだろうか。恐らく票を落とすであろうから、きっと現れないであろう(笑)。
などと余計な話はさて置いて、電車は8時13分に西武秩父駅に着く。歩いて3分の秩父鉄道お花畑駅から8時24分発の三峰口行き電車に乗り換える。行き先は秩父鉄道「武州日野駅」だ。荒天の天気予報にもかかわらず薄日の射すまずまずの天気で、カタクリの開花が促されるものと思われる。武州日野駅の線路沿いの丘陵が「弟富士(おとふじ)カタクリ園」というカタクリの自生地になっていて、駅から歩いて数分で目的地に行けるのだ。
しかし、電車を降りホームから眺める自生地は土色の地肌ばかりで、カタクリのあのピンクの彩りなど全く見えやしない。改札で駅員さんに尋ねると、やはり寒の戻りが影響していて、蕾は出ているもののなかなか開花してくれないと言う。う〜ん、やはり暖冬とは言え、デリケートなカタクリは寒の戻りにじっと耐えているようだ。それでも幾つかは開花しているだろうと期待して園内に足を踏み入れる。
園内に入ると、なるほど確かに蕾は付けているものの、開花しているカタクリは極端に少ない。目を凝らして見ても、あちらにポツリ、こちらにポツリ程度である。この蕾の状況からして来週末辺りには咲き揃うことと思われるが、そんなに頻繁に訪れることなど出来やしないので、開花途中のものも含めて数十枚をカメラに収めここは撤退することにする。やはりカタクリは花開いた姿が妖艶で美しいのであって、固く殻を閉じてる様は余り精彩がない。ほぼ15分程で撮影を終えると、期待を込めて別の自生地を目指すことにする。
次の目的地は秩父鉄道「樋口駅」である。駅から歩いて10分程度のところに「長瀞カタクリの郷」と呼ばれる自生地がある。「弟富士カタクリ園」の数倍はある関東一を自称する広い自生地であるが、果たしてここはどうだろう。
園内に入る前に入場料100円を払う。通常は300円であるが、花の付きが芳しくないという理由で安くしてくれた。受付の親父の話によると、秩父地方はこの冬全く積雪が無く、水不足と乾燥そして最近の寒の戻りのため花の生育が例年に比べ芳しくなく、花を付けても例年より小さく鮮やかさに欠けるという。雪がまだ融け残る早春、林の中の日向や残雪の淵にいち早く咲き、まわりの植物が葉を茂らせる前に消えていくスプリングエフェメラルと呼ばれる植物の代表格であるカタクリ。林床に生きる植物の多くは耐陰性があるが、スプリングエフェメラルと呼ばれる植物にはそれが無い。だから、春の間だけ地上に現れ周りの植物が陰を落とす頃には地中での長い生活に入るのだ。カタクリのように7年間も地中で生活する植物にとって、地中の水分が不足することは致命的であり、暖冬のため融雪による水分補給ができない今年はさぞかし辛い春に違いない。何一つカタクリのためにしてあげられることは無いが、せめてこれだけはとエールを送る。花の世界もこの異常気象でバランスが大きく崩れているようだ。
そんな話を聞かされた後で少々心配したが、群生とまではまだまだいかないものの、ここでは大きく花開いたカタクリがあちらこちらに見受けられ「弟富士カタクリ園」とは雲泥の差である。電車で40分程度南下しただけなのにこんなに差が出るものだろうか。それからは2台持ってきたカメラを遠景用と接写用に使い分け、三脚片手に山中を駆け回る。時には花の前に座り込み、時には腹ばいになってカメラをフル稼働させる。群生じゃ無いからこそ、目移りしないで一本一本と対話しながら撮ることができ、何となく花に愛着がわく。彼此200枚近くは撮ったであろうか。う〜ん、満足だ。ツアーだったらこれほど時間をかけて花と対話するなんて到底無理だ。花を愛でるにはやはり単独行に限ると思いつつ、ここにも1時間ほどでお暇をしたのだった。
先日の節分草の場合は既に朽ち果て、今回のカタクリの場合はまだ蕾の状況という、暖冬の影響と寒の戻りの影響がこの狭い秩父の地で鬩ぎ合いをやっている。4月に入ると私は群馬の地に「オキナグサ」を愛でに出かける予定だが、果たして自然はどんな試練をこの花に課しているのだろうか。