年月日 2006/11/23(木) 天候 曇り 場所 山梨県甲州市上萩原 ルート 上日川峠→(20分)→福ちゃん荘→(50分)→大菩薩峠→(40分)→雷岩→(10分)→大菩薩嶺→(70分)→上日川峠 歩行距離(8.0`)、所要時間4時間00分(休憩時間含む) その他 中里介山の未完の長編小説「大菩薩峠」で知られるここは、旧青梅街道の第一の難所だったところ。標高1897bの大菩薩峠は、山々のアーチの向こうに富士山が見え、甲府盆地の西には南アルプスの展望が楽しめる絶景スポットです。薄曇のこの日は十分とは言い切れないものの美しく冠雪した富士山と南アルプスの山並みを眺めることができました。コースは初級者レベルでも登ることができるルートですが、それでも標高差は500b近くあり、距離も長いので歩き応えがある道程です。
以前から気になっている山がある。その名を「大菩薩嶺(だいぼさつれい)」という。大菩薩嶺は山梨県甲州市と北都留郡丹波山村に跨る標高2057mの山で、奥秩父山塊に位置し、大菩薩連嶺の主脈を構成している日本百名山の一つである。またこの山は中里介山の長編時代小説である未完の一大巨編「大菩薩峠」の舞台にもなっているので、ご存知の方も多いと思う。登山のレベルで言えば、かなり難易度の高い山で、ルートによっては中級者〜上級者のレベルに位置付けられている。今の私の脚力で果たして登れるかどうか心配であるが、S社の今回のツアーは初級者でも踏破可能と思われるルート取りのようなので、思い切って出かけてみることにした。
池袋集合の1号車が24名、新宿集合の2号車が25名の総勢49名を乗せて7時30分に中型バス2台は新宿を共に出発する。この参加者の多さはさすが人気の高い山の証拠だ。バスは順調に中央高速を進み、勝沼インターで国道411号線に出る。更にJR塩山駅を経由し大菩薩峠登山口のある裂石へ向かう。しかし、ここ裂石から登るのは上級コースであり、我々は更に標高の高い上日川峠のスタート地点までバスで向かう。この道が車のすれ違いもままならないような細い道で、万が一対向車と遭遇したら、幅員のやや広い場所までどちらかが前進若しくは後退して道を譲ることになる。なるほどだから大型バス1台ではなく中型バス2台にした理由がここで分った。
バスは上日川峠に10時過ぎに到着する。天気予報では九州地方、そして北海道地方に寒冷前線があって、この後大荒れとなり真冬並みの寒波が襲ってくるという。しかしここ山梨県塩山地方は左程寒くもなく、雲も高いため遥かに南アルプスの遠景を見渡すことができる。この後天気は崩れるのかも知れないが、どうかこのまま穏やかにと天に願をかける。
身支度を整え10時15分に登山を開始する。まずは唐松尾根分岐点にある山小屋「福ちゃん荘」まで進む。登山道は左程急では無いが、エンジンが温まっていない体にはちときつい。最初から首と頭にはタオルを巻いて歩いているが、歩くほどに汗がジットリと浸みてくるのが分る。それでも30分も登れば目的地だ。「福ちゃん荘」で暫し休憩を取り一服燻らせる。
10分ほど休憩し、腰を上げると次の目的地「大菩薩峠」へ向かう。最初はなだらかな山道歩きだ。途中の富士見平辺りからは冠雪した富士山がくっきりと姿を見せてくれていて参加者から一斉に歓声が上がる。暫く平坦な道が続くと「勝縁荘」辺りからは勾配の急な山道に入っていく。この後は添乗員の指示に従い休まず一気に峠まで登ることになったためかなり辛い。先を見ると挫折しそうになるので、足元を見ながらただ黙々と登る。激しい息遣いで50分登ってやっとのことで「介山荘」のある大菩薩峠に飛び出した。
ここで昼食タイムとなる。遥か彼方には雪を頂いた南アルプスの山並みが稜線をくっきりとあらわしていて実に美しい。支給された弁当は団子坂SAで積み込んだ弁当だが案外これが豪華だ。美しい風景、綺麗な空気、そして美味しい弁当。最近に無くのんびりした昼食だ。しかし、峠では他の様々なツアー会社も我々の周りで昼食中で、ワイワイガヤガヤとさながら街中の雑踏のような賑やかさだ。その中には毎回私が参加しているC社のツアーもあったのだが(笑)。
30分間の昼食を済ませると、「大菩薩嶺」を目指すべく腰を上げる。旅行案内書によると、ここからはたおやかな山歩きとなると書いてあるが、どうしてどうしてアップダウンの激しい山道が続く。賽の河原を過ぎ一登りすると、なるほどたおやかな稜線歩きとなり、稜線上からは南アルプスの遠景や上日川ダムとその背後の富士山や周辺の山々が美しいコントラストを描いているのが見渡せる。しかし、それを過ぎるとむき出しの岩をガッシと掴んで登らなければならないような急峻な岩場も待ち構えている。冷や汗物で岩場を登りきるとそこが「雷岩」である。「雷岩」はかって雨乞いの祈祷所だったそうで、願いが叶う時には大岩から光と轟音が発したという。しかし、標識も無いのでその岩と気付く何も無い。
雷岩からは山頂への最後の登りとなる。左程勾配のない山道をものの10分も登ればあっけなく大菩薩嶺山頂である。周りは樹木が生い茂り展望は全く利かない。それにしても狭い山頂は先程の峠と同様もの凄い人の数だ。頂上を示す標柱の前では我先にと記念写真を撮る人々で人垣が出来ている。長居は無用、私は標柱だけをカメラに収めると、ものの5分ほど休憩してピストンで「雷岩」まで戻る。
さあ、ここからは下山となる。「雷岩」からは足場の悪い唐松尾根を一気に標高差450bも下る。雨が降っていないのでぬかるんでこそいないが、安定感の悪いガレ場の下りは事の他きつい。40分かけて「福ちゃん荘」まで戻り、一休みして更に20分かけて「上日川峠」まで戻る。今回は両脹脛(ふくらはぎ)、左膝、腰に其々サポーターを着けていたため、一度も腓(こむら)返りを起すことなく無事下山できた。
さて、バスに乗り込み、最後のスケジュールである「ほったらかし温泉」へ出かける。これが案外遠く、山梨市の山中にある温泉まで約1時間もバスに揺られる。この温泉には「こっちの湯」と「あっちの湯」と呼ばれる温泉があり、「こっちの湯」は落ち着いた風情の一般的な温泉らしいが、私の入った「あっちの湯」は一斉に150人も入れるという長方形の露天風呂が名物となっていて、甲府盆地や富士山を湯船から眺めることができる。生憎この時間帯ではすっかり雲が出て、御坂山塊が辛うじてうっすらと形を残している程度である。ところで温泉名の「ほったらかし」であるが、語源は一体何だろうか。もしかして、規模にしては従業員数が案外少なく、接客の面で案外ほったらかしにされていたのがそうかもしれない(笑)。
ところで、ルート取りの関係で初級者の我々でも登れる今回の大菩薩嶺であったが、やはり最近に無く歩き応えのある充実した山登りとなった。曇天ながら眺められた富士山と南アルプスの雄大な眺めは、何時見ても見事で高山への想いを更に掻き立ててくれるものであった。次回は高山植物の咲き乱れる季節に同じコースをもう一度、そして焦ることなく中級、上級ルートへと徐々にレベルを上げていくことにしよう。